一般会計総額92兆4116億円の2011年度予算は29日、憲法の規定に基づき成立した。東日本大震災の被災地復興に向けては、今後さらに10兆円超の予算措置が必要とされる。菅直人首相は野党にも協力を呼び掛け、当面の復旧に必要な11年度第1次補正予算案を編成するとともに、被災者支援のための立法措置を急ぐ方針だ。
11年度予算は、午後の参院予算委員会と本会議で野党の反対多数で否決された。衆参両院で議決が異なったため両院協議会を開いたが、協議は調わなかった。この後の衆院本会議で横路孝弘議長が憲法60条の衆院優越の規定に基づき「衆院の議決が国会の議決となった」と宣言、予算は成立した。
しかし、予算執行に不可欠な赤字国債を発行するための特例公債法案は成立の見通しが立っていない。菅政権は震災復興財源を捻出するための衆院選マニフェスト(政権公約)の一部見直しなどを通じ、特例公債法案についても野党側の理解を得たい考え。
一方、年度末で効力が切れる現行の子ども手当を6カ月延長する「つなぎ法案」と、租税特別措置(租特)を3カ月延長する法案も、29日夕の衆院本会議で可決、参院に送付された。租特のつなぎ法案に関しては、31日に成立する運びだ。